活動開始のいきさつについて
Background of the Project

教育実習生派遣の経緯

 本プロジェクトは、学内教育イノベーションプログラムとして採択された「2017〜2019年度日本語教育学コース実地研修プログラムの開発:多文化共生社会への貢献」によるものである。

 2015年度に上智大学大学院に「日本語教育学コース」が設置されたが、実地研修の場が提供されていないことが課題であった。これに伴い、2016年夏に、日本語教育学コース修士課程生2名が、本学と連携協定を締結しているサラエボ大学(ボスニア・ヘェルツェゴビナ国)において、3週間の日本語夏期講座をボランティアで担当した。

 サラエボ大学では、2013年から日本大使館の支援により日本語コースを開設し、50名程度の受講生が学んでいるが、夏季期間中には日本語教育が実施されておらず、大使館およびサラエボ大学から上智大学への支援要請があった。夏期講座には、継続して学んでいる生徒に加えて、100名あまりの受講生が新たに参加し、本講座への高い期待が伺えた。受講生の夏期講座への評価は非常に高く、地元メディアにも紹介され、日本文化の紹介を含めた本講座の継続を望む声は大きかった。

 ボスニアでは、日本の言葉や文化を学ぶことは、紛争後社会の厳しい現実を日々体験している人々にとって「希望」を与えるものだと表現されている。

 サラエボ大学では、将来、正式な日本語専攻(仮名)設置を計画しており、それに向けてボスニアひいてはバルカン地域全体の日本語学習者の裾野拡大とカリキュラム開発が目指されている。このような背景のもと、日本文化・日本語への関心が高まるボスニア・ヘェルツェゴビナ国で日本語を学ぶ機会を提供しつつ、日本語教師を目指す本学の院生が実地で研鑽を積む「日本語教育学コース実地研修プログラム」を構築する意義が高まった。